ストリームヴァレー
http://www.streamvalley.jp/index.html
むかし田園調布にあった伝説的喫茶店「コリアス」にいた池田さんが開いた店。
コリアスがたたまれる時に譲ってもらったテーブル席一式(俺はテーブル席の客だったので記念に)は今度の引越の時にも悩んだ末持ってきている。椅子の背にはコリアスができる前にその場所で営業していたジョアンという喫茶店の名前が刻まれている。コリアスはジョアンのあとを居抜きで譲り受けて店を開いたらしい。
コリアスで当時つきあっていた恋人(後の妻で現在の元妻。。だが)が好きだったコーヒーゼリーを盛るために使われていたプレートとカップとストロースプーンはいまも彼女の家にある。このコーヒーゼリーは不思議なもので。。。ちょっと言葉にできない。器を譲り受ける時に、池田さんに「まねできないことは判っているけど参考までにレシピを教えて下さい」とお願いしたところ、池田さんは平然と大真面目な顔で「やっていることは単純で。まず限界に近いくらいいい豆を。限界に近いくらい深くていねいに炒って。それを限界に近いくらい濃くいれて。それを限界に近いくらい硬く作ったゼリーで固めるだけです」と言った。まさに単純なこと。
コリアスでは畏れ多くてなかなかカウンター席には座れなかったのだけれども、最後の晩に常連さんに混じっていろいろ話を聞きながら見せてもらったカクテルブックにはさまざまなカクテルの説明がベースにする酒やタイプごとに分類されてあっさりと手書きの文字で書かれており、最後のページの最後のカクテルの説明の下の行に小さい赤い文字で「もちろんこのほかにも無数のカクテルがあります」と書かれており、さらにその下の行にもっと小さく青い字で「もちろん作れないものも数多くございます」と書いてあった。
以前、雑誌Penの記事で、ストリームバレーのことをなんの気になしに読んでいて眼に入ったオーナーの「池田さん」という名前に引っかかりを覚えて掲載されている写真を改めてよく見るとあの「コリアスの池田さん」と同一人物ということが判りとても嬉しかったことを覚えている。最後の日に店を去る時にフツーなら今度どこかの店に立つ時には連絡を下さいとでも言って名刺の一枚でもおいてくればよかったのだけど、何を思ったか俺は「縁があればまたどこかであいましょう」などという謎発言をしたまま辞してしまったのでその後消息をたどろうにもどうしようもなく後悔していたところだったからだ。
少々地理的に離れているので未だストリームバレーには足を運んだことがないけれども、新天地で新しい生活を始めるにあたって区切りでもあるし、ここのところで時間を作って訪れてみようかと思っている。
そのためのログとしての意味もありここに書き記しておく。
単純ってオソロシイなぁと思います。
ベテランによるピカピカに冴えた「定番」
毎日作れるか、毎日食べに来る客がいるか
同じ物を作り続け、かつ人を飽きさせない。
そういう仕事ぶり……あこがれますなぁ。