e_が日本に来ている。プロジェクトの取材で渡航する先のビザを取得するために。あまり突っ込んだことはきいたことはないがアーティストビザでUSの永住権はあるものと思うが国籍は日本であるのでビザを取得するには渡航国の在日大使館に出向くことになるものであるらしい。まぁほかの用事もあるのではあろうけれども、大体年に一度くらいは日本に来て、よほど慌ただしい日程でない限りは連絡をくれる。俺ごときが彼女の名をだすのはネームドロッピングでしかないのであれだが、飯ダチの隅っこの方にリストされていることを率直にうれしく思う。

新宿で待ち合わせ。渡航に持っていくためのかばんを物色したりしていたよう。朝から用事で歩きづめで相当に疲れていたらしく、とりあえず休もうということになって座ってコーヒーが飲める場所...と二三提案しながら却下されることを繰り返しつ、ルミネの地下のパン屋へ。

F: キミがなかなか来ないからあたしは仕方なく無料で配っている
  こんなものを読んで待っていたよ

と言って、住宅情報紙を二冊かばんから出してくるe_。
朝から歩いてくたくたと言っているのにこんなくそ重いもんを...

F: 高いねー。こんなちっぽけなうちなのになんでこんなに高いの?
  あり得ないよ
  日本人はみんなどうやってこんなお金出して家買うの?
d: 人生をカタにいれて借金するのさ

自分は日本人だ、と言いながらもちろんそれが彼女のアイデンティティでもあるのだが、生活感覚はもはや完全な非・日本的なものになっているようだ。まぁでもそれは学生時代からあまり変わらない。善くも悪くもアーティストだ。本人も気にしていたが最近少し日本語の言い回しがおかしい。殊にここ数年はいまやっているプロジェクトの取材で年の半分は南米やら中国といった英語圏ですらないところを旅しているらしいので、余計拍車がかかっているようだ。次は北欧からはいって半年かけて赤道アフリカ地域某国まで行くと言う。何ともスケールの大きい話だ。逆ルートだと季節的には真夏の熱帯から極寒の極北...だったのだけど、さすがにそれは避けたらしい。

コーヒーショップで男女ふたりが並んでコーヒーをすすりながら住宅情報紙を読んでいる図というのももう少し若いふたりなら深読みのいくらも出来る絵になる図ではあるけれども、客観的には年齢相応とはいいにくい身なりの40半ばの二人がいったい余人の目にはどういう風に映るのだろうかというような余計な妄想を膨らませたりしながら「ほらこぼさないの。まったく手もちゃんと拭いてないし信じられないよ。汚いなー」とかダメ出しをされつつコーヒーをすすっていた。

結局いつでもどこでも誰にでもダメ出しをされている。

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