近代社会においては、似たような考え方や感じ方をする人間が群れて、群れることで安心する。でもそれは群れから取り残されることに対する不安を常に感じ続けることと表裏一体だ。そんな不安定な感覚を現代的だと評価する詭弁家もいるが、私は、そういう堂々巡りから自分を抜け出させてくれる決定的な事物との出会いが一つあればいい、とすら思う。
ここ15年くらい、評論家や賞の審査員が、写真を評価する際に「なんでもないような写真に見えるかもしれないが、そうではなく、実はとてもスゴイのだ」と、凡人にはわからないかもしれないが写真のことをわかっている自分にはその魅力はわかるのだという論法で評し、権威化された彼らの言葉に盲目的に追随し、真似をする者も多い。
しかし、写真とは、究極、事物との出会いを伝える媒体であって、その事物が見る者の認識にどう働きかけるか、その強度はどの程度のものか、記憶への刻まれ度はどの程度のものか、その記憶化された写真という事物との出会いが人生にどう働きかけるかということ以外に、どれほど重要なことがあるのだろうかと思う。
赤ちゃんの写真は誰が撮っても心を動かす。それは、赤ちゃんを撮る時に自分を投影しようとする人は、あまりいないからだ。赤ちゃんという”事物”との出会いだけがあるから新鮮なのであって、撮影者が自分を投影した赤ちゃんの写真なんか気持ち悪いだけ。
写真の本質はそういうものだが、写真の表現者とは、誰が撮っても心を動かす赤ちゃんを撮る人ではなく、多くの人が見落としている事物との出会いの力を再認識させる人。
「普通に見えるけどスゴイ」等という詭弁は必要なく、写真を見た人が、事物を通して新たな認識と出会えてこそ、すごい表現と言えるのだと思う。
女性の顔が皆スゴく似ていたのに対して、男性の顔は千差万別だった。つまりY染色体は船に乗って余所からいろいろなバリエーションが持ち込まれているという事なんだろう。まぁオトコというのはそういう役割だ(テキトー)
いわきよりも少し南にある仮設住宅では被害者の方ご家族と、そのご近所の方に集まっていただきお話を伺った。
その住宅の主の方のお母さんは、まぁうちのオババより少し若いくらいなのだけれども、いったんは東京の団地に落ち着いたものの、知り合いもろくにいない東京の暮らしに馴染めず、仮設に空きが出たのを機に東京を引き払って仮設住宅に戻ってご近所付き合いのある生活をはじめたのだそうだ。 今回の事故で被害を受けた土地というのはほとんどローカルで完結した村が多く、土地に対する愛着が強い事が容易に想像できる。インタビュー中、お婆様と、パートで働いていた近所の小母さんと、そのお嫁さんという三人の女性がならんで座っていたのだけれども、直接の血縁が無いはずのその三人が、顔立ちだけからすると姉妹とその娘としか思えないほどに顔が似ていた。これは東京の感覚では推し量れないほどに血が濃い社会なのだと思い知らされた
官は冷温停止と線量の低下を計画通りに宣言し警戒区域を縮小して住民が戻れるようにする事を目標として掲げ行動している。そのことは一見する限りでは正しい。程なくまず立ち入り制限区域への検問がもう少し内側に移動して第二発電所辺りになり、いずれ富岡町も警戒区域指定を解除されるだろう。しかし。おそらくそうなったとして子育てをする世代が元の村に戻るかといわれれば俺は難しいと思う。結果としてもたらされるのは一家の離散と極端で急激な高齢化、その上での民間復興である。ふざけた話だ
福島第二発電所では再開に向けた復旧改修工事が急ピッチで進んでいる。警戒区域内の国道は、原発関連の人員や物資を載せた車輛が数分間隔で、多数連なって猛スピードで往来している。ところどころ路盤が崩落しており、片側相互通行なのでそのようになる。以前ネットで原子力発電所へ往来する車輛の軌跡をGPSカーナビを使って官が外部でモニタリングしている事が知られて「監視だ」と言って騒ぎになっていたことがあったが、今回聞いた話では、作業車輛は国道の通行は認められているが脇道に入る事は禁止されているそうだ。無用な駐停車も禁止されているだろう。要は不心得者が混じっていて、無人の村で狼藉を働かないようにという事だ。その監視のためにGPSを利用しているという事であれば、あまりエレガントではないがやむを得ない事かなと感じた
福島第一発電所から10kmのところにある福島県富岡町まで行って来た。警戒区域内である
あの事故の後、多くの悲惨報道の映像を見ていたので現地ではいまも同様な惨状があるものと予想して向かったが、路面から見える範囲は官による撤去が行なわれており、見かけ上は地方によくある「シャッター街」の徹底したものと言えなくもないというのが率直な感想だった。ただし、住民が退去を命じられているため家屋の中は、地震の直後のままほとんどの片付けは手つかずであるという話だった
許可を得ている場所以外に立ち入ったりクルマから降りたりするとすぐに巡回のパトロールカーが飛んでくるので、あまりここに載せられる写真はないが、ともかくも現状を見ていろいろ勉強して来た。多くを語るべき立場にはない







